06 June 2006

Hieronymus Bosch


ブルーゲルの「子供の遊び」という絵が必要になったので、図書館にいったら、すぐ近くにあったボッシュの画集。そういやとびちゃんが好きだっていってたな、と思って手に取ってみた。いや真剣にみたのってはじめてかも、とおもいつつまじまじと見るが。


いやー。こりゃえらい面白いぞ。例えば快楽の園。変わった動植物と裸の男女がいっぱい。不思議なかぶりものして踊っているうえにふくろうがのっていたり、巨大イチゴのしたで押しらまんじゅうしてる大勢の人とか、リンゴの形した船の中にこもってぷかぷかういてたり、そこから不思議な草がくるくるでてたり、おしりに花がついてたりする。
動物と人間の関係もおかしい。人間の大きさが妙にちいさいけど、これはコロボックルなのかしら?もしや?魚の口のなかに膝をかかえてうずくまる数人の人。なんかもしかしてこれって気持ちいいのかも、と思わせる。水のなかからニョッキり足がでてるのは、犬神家のなんかを思い出したよ、股間に巨大イチゴがはさまってるけどね。快楽なんだろうか、これ。
左がエデンの園で右側が地獄だそうだが「音楽地獄」って。なんだよ意外とたのしそうじゃんか。おしりに音符がついてるのがなんとなくかわいい。怪奇生物っていわれてるらしいが、不思議の国のアリスとかに出てきそうな魚。人たべてるけどね。
みっしりといろいろな人が丹念に書かれているがいちいち想像を絶する。書いてあるたてものも奇妙だし、色合いとかタッチはファンタジーなんだけど、妙にグロテスクで、でも笑える。(笑っちゃいけないのかもしれないけど)これは頭のおかしい人の絵だ。素敵。まあ絵描きなんてちょっと変わってる人ばっかりだろうけど。みてて飽きない。ボッシュ、いいね。欲しくなっちゃったよ、画集。

ブリューゲルもだいぶキモチ悪いへんなところがあると思うけれど、ボッシュをみたあとにはすごくまともな画家に思えました。

ヒエロニムス・ボッシュ Hieronymus Bosch(1450-1516 )オランダ。「地獄と快楽の画家」と言われているそうです。ちなみにあとから追加しましたが、下の写真は扉絵です。この絵は3枚対で閉まるようになってるらしい。

2 comments:

Anonymous said...

いやっふー、こんな風に出てくるなんて素敵。素敵。
これって真ん中は『淫欲』の世界を表現してて、可愛らしいイチゴも当時は性欲の象徴だったのね。魚は男性器、貝は女性器、真ん中の池は生命の泉。エロい絵なんだよ(笑)。いろいろ解釈はあるらしいんだけども、左はアダムとイブの出会い、つまり人間の誕生を言っていて、人間が反映するに従って真ん中の快楽(淫欲)の世界へ、そして最終的には右側の地獄へ堕ちる、と個人的には思ってる。右側で人間を食べてるのは、日本で言うところの閻魔大王みたいな存在で、人を食べてはすぐに排泄、を繰り返してるの。つまり無間地獄なのね。そんで、真ん中の怪物(ツリーマンて呼ばれてる)は体が卵の体でできていて、すごく不安定で不確かな存在なのに、それに気付かずに浮かれている人間たち(内側で盛り上がってる奴ら)を憂いている。で、ツリーマンはボッシュ本人を表現してるんじゃないか?とも言われてる。あとフクロウとか。森の賢者と言われるフクロウが、森(オランダ語で“ボッシュ”)を見守っている、とかさ。
てことは、かなりトンチンカンな人ではあるけれども非常に信仰は厚くって、人間の悪行をを断罪する絵なんだよねーと、これまた個人的に思ってる。そんでまたこれが1400年代の終わりから1500年代にかけて、つまり世紀末に描かれた絵だってことも考えると、当時の終末思想みたいなものも忍ばれて、ふーん、って。ま、ふーん、なんだけど。長々と失礼。

…失礼ついでにちなみに、これって3枚の扉絵なんだが、扉を閉じるとこんな感じ↓。
http://www.salvastyle.com/images/collect/bosch_garden_close.jpg
世界の始まりと終わりを描いたと言われてる。世界が誕生して(閉じた状態)、人間が繁栄し、滅び(開いた状態)、世界が終わる(閉じた状態)というストーリー。そしてまた扉を開くと…と続いていって、全体として“永遠”を表現した、とも。いいぜ。いいな。愛してるよボッシュ。

Chiakin’ 93 said...

いろいろ解説をありがとう。そうなんだ。エロい絵なんだね。まあそうはおもったけど。ボッシュが宗教家っていうのはなんかで読んだ。宗教画も多いみたいだし。なんか機会があったら欲しいな画集。